ショートストーリー

ちょっと古めのクルマと出会った、普通の人たちの日常 season3

ボクの生まれ育った横浜市は坂道がとても多く、学生の頃に駅までチャリンコを漕ぐのが本当に苦痛だった。 就職をして実家を離れ、東京の世田谷区で一人暮らしを始めた。 あったら便利かなと思い、ふとマウンテンバイクを買ってみた。 南北の移動が不便な世田…

ちょっと古めのクルマと出会った、普通の人たちの日常 season2

私はカウンター席の一番端に座った。 見たことの無いボトルばかりでオーダーに困っていると、常連客らしき人たちが一人、また一人と来店してきた。 グラスワインの赤を注文した。 カウンターに置かれたリーデルのワイングラスに注がれたのは、私の苦手なカベ…

ちょっと古めのクルマと出会った、普通の人たちの日常 season1

東京の大学を卒業したら、実家に戻ってくるだろう … きっと両親はそう思っていたに違いない。だけど私は戻らなかった。 当時付き合っていた彼と離れるのは嫌だったし、駄目元で応募した出版社に受かってしまったのだ。 創刊から間もない女性誌での仕事は、想…